MONDO CANE(邦題:世界残酷物語)(1962年・伊  監督:グァルティエロ・ヤコペッティ)

世界残酷物語 [DVD]

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
20世紀最大の衝撃作を生み出した鬼才・ヤコぺッティ監督の名を世界中に知らしめた話題作をDVD化。牛の頭を一刀で切り落とす民族など、世界中の残酷で奇怪な風習を集めたドキュメンタリーに全世界の人々が目を奪われ、驚愕の嵐に包まれた。

モンドの神様ヤコペッティ!、と名前は知ってたものの作品は初見。モンドって何だ。サバービア、レアグルーヴと並んでよく分からないカテゴリです。



冒頭、ここに収められた映像はすべて事実であるという前置きから始まるこの映画。しかし見進めるうちにどう考えても不自然な箇所がちらほら。どうやらそんなドキュメンタリー風やらせ映画の事を「モンド映画」と呼ぶらしい。
で、内容は残酷を謳ってる割にはそんなにショッキングでもないっていうか。世界各地の変わった風習を映しだしていく展開で、海外旅行が難儀であったという公開当時においてはともかく今見ても特別な感慨は抱けません。未開部族の儀式なぞ、もはや模範的ですらありますし。映像編集と合わせてぶった切られる音楽にも違和感を感じました。
とはいえ入り混じった現実と虚構のバランスが奇妙な映像世界を作り上げているのも確か。映像・ドキュメントという「手法」を逆手にとって遊び、そこに笑っちゃうほど辛辣な批評を潜みこませながらも全部まとめて娯楽として成り立たせてしまう強引さはちょっとした衝撃でした。いや、マイケルムーアより凄いって、多分。(←キーワード目当ての一文)



なにもかもがポップカルチャーになり得た60年代初頭に憧憬を覚えつつ、現実さえも知識と想像(創造)に消費される現代においてこそ意味を持ってくる作品なのかもなー、と思ったり。悪くないっすよ、2004年。あ、精神不感症を利口と履き違えられる程おめでたくはないですが。
興味湧いたんで他の作品も見てみようと思いまーす。


追記

調べてみるとどうやら「放射能に汚染されて方向感覚を失った亀」(産卵後海に帰れず干からびて死んでしまう)等もやらせらしい。生命も題材の一つとして遊んじゃうっていうのはどういうことなんだろう・・・いや、モラル的な問題じゃなくて。悪趣味の言い訳として擬似ドキュメンタリーという手法を選び、それが結果として批評性を持つ事となってしまったのか。はたまた批評ありきで悪趣味という方法を選んだのか。どっちも併せ持つ狂人?それとも芸術の求道者?いやもっと、そんな観る側の思惑などはるか下に見おろす崇高な何かが??


ずーっと考えてるけどさっぱり分からん。色々とひっかかりっぱなし。
真摯な悪ふざけの美しさ?と哀しみ?でいいのだろうか。つーかこんだけ強く引きつけられてるってだけで十分だよな。