かすとろ式/駕籠真太郎

かすとろ式 (Ohta comics)
毎度のエログロメタ小話と思って読んでいると驚かされること必至な、なかなかに実験的な内容でした。特に後半、漫画とは一枚の大きな絵をコマで区切っているものだという発想からなる「要人無用」、ストーリーとは1コマ目の増殖によって生み出されるという発想から展開する「分裂増殖」、ページとは立体物の一側面であるという発想から展開する「国民の創生」、コマが分裂を繰り返す「ブローアップ」、あたりの流れは凄い。と言っても、面白いかと言うと微妙だし、哲学的な思索としても(オチのつけ方も含めて)それ程突っ込んだ所までいってないとは思います。が、それを説明文でなく作品として描ききった所に意義そして凄さがあるのではないかと。
俺はこの人の事を、どこまでマジか分からない人と捉えていました。けど本作を読んで、どうしてもエログロ/ギャグを書かずにいられないけれども、(漫画)表現に真摯に対峙し且つアグレッシブに立ち向かっていく真面目な人なのだと確信し、考えを改めました。というかエログロ/ギャグも真摯に向き合う行為の一環なのか。そういう意味でも、キーワード先で比べられている氏賀Y太ストーリーテリングに重きを置いた方向に向かっているのと好対照だなーと思ったりもしたり。
あ、妙に誠実なあとがきは余計だと感じたですよ。先回りパロネタにせよ、ね。