真・現代猟奇伝/氏賀Y太 （１８禁）

最初に氏賀作品に興味をもった理由は悪ふざけから来る怖いもの見たさという面が大きかったのですが、今や素直にファンです。
女子高生コンクリ詰め殺人事件など実際にあった猟奇的な事件を元に描かれた「真・現代猟奇伝」シリーズ、国家反逆罪によって生きたまま解体される女の話「そこの肉片に告ぐ」、マッドな医師が人体改造した患者を虐待する「ANGEL」、食糧不足から人肉でハンバーグを作る世界、そこでハンバーグ製造工場に勤める女の話「ゆめいろハンバーグ」を収録。
グロっぷりは相変わらず、しかし本作を読んで一番感じるのは社会的な問題に対して正面から取り組む氏賀氏の気概です。「マテリアル」シリーズ等その兆候が見られる作品もありはしましたが。怖い、気持ち悪い、そんな感情を呼び起こす表現にはまだまだ可能性が潜んでいるという事実。ジャンル内カテゴリの幅を広げつつメッセージ性を強く打ち出していく姿勢には感動を覚えます。
ストーリーテリングの甘さを感じる面もなくはないのですが、そんな事よりまずはここまで描ききったことを賞賛するべきだと思います。絵もどんどんうまくなってきてるし、まだまだいけるって。こんな事のできる漫画家は氏賀Y太しかいない！断固支持！
ついでに非難を承知で企画・発表・単行本化をおこなった出版社の方々も支持。こういうのもっとやって！