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目は覚めているけど瞼は動かせない。まどろみ。カーテンの隙間から差し込む光が映し出す。狂気に至る憂鬱さえ飲み込む静けさは湖。僕は畔にある薄紫色のソファに腰掛けて本を読んでいる。何の?うるさくない程度の間隔でもってアリバイ的に立ち並ぶ木々、踝丈の草々。何の?分からない。ざわめきが段階的に近づいてくる。近づいてきて、一瞬消えて、後…フューとヴァリューとクロマを伴って……優しい風がそっと頬を撫でた。ここは、凄く心地いい。