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始業式になんてなんの感慨もないから。僕はいつも通りのバスに乗った。鞄からCDウォークマンを取り出し蓋を開けると、中にはいれっぱなしのPILの2ndが入っていた。まぁいいや、コレで。変えるのも面倒だし。CDウォークマンをしまい直しながら耳にイヤホーンを付け、スティックをひねる。流れ出す陰鬱なベースと呪詛の言葉、に陶酔する自分に吐き気をもよおし満足すると、続いて文庫本を取り出す。ざらついた手触りの、褐色の、ブックカバー。書店の名前が規則的に連続して印刷されている。中身は「天皇ごっこ」だ。一度図書館で借りて読んだのだけど、もう一度読みたくなって最近買いなおしたやつ。栞を抜き取りながらふと考える。この瞬間に僕がパンクと革命に生きているだなんて誰も思わないだろう。そして、僕も誰をも思わない。外側はいつだってざらついていて、褐色だ。あるいは内側も?僕以外は、そうかも。定刻。どす黒い煙を吐き吐き、バスが走り出す。